カタツムリ囲いによる端攻めが有力である、

と、これまでの記事で考えてきた内容ですが、今回はその第三弾です。

カタツムリ囲いの形と地下鉄飛車の相性が良く、
前々回のカタツムリ地下鉄VS高美濃囲い
前回のカタツムリ地下鉄VS穴熊
の実験においても、そこそこの成果をあげていました。

カタツムリ地下鉄による端攻め手順【カタツムリ囲い研究part3】 : C級将棋研究ノート (livedoor.jp)


カタツムリ地下鉄による端攻め手順 その2【カタツムリ囲い研究part4】 : C級将棋研究ノート (livedoor.jp)




今回は、カタツムリ地下鉄VS銀冠 ということで、地下鉄飛車で銀冠を攻めるときの手順について(私が)勉強していきたいと思います。


まず、課題局面ですが、
2021-08-27 (2)
こちらの局面を課題局面としようと思います。

今回はちゃんと自然な局面になりました。
銀冠に組んでいる間に地下鉄が完成してしまった、的な局面を想定しています。

高美濃、穴熊の時は相手が端歩に2手かけても先攻されてしまっていたので、
今回はかなり期待が持てます。

さて、この時点でのソフトの評価と仕掛ける最善手について見てみると…

………………ん??
2021-08-27 (3)
この時点で後手有利600点!!?

そもそも銀冠はバランスが良く、端が弱点という囲いではありません。
端に火力を集中したところで突破は不可能なのでしょうか。


しかし、ソフトの次の一手で三番目に良い▲9五歩はまさしく端攻めを開始する手なので、
ここで▲9五歩を選択し、変化を見ていきましょう。
駄目なのは目に見えていますが、面白い変化や、ハメ手でも見つかれば御の字です。


まず、仕掛ける▲9五歩、当然相手の応手は△同歩ですね。
ここで、▲9五同香ではなく▲9五同角といくのがポイントです。

▲9五同香では、△9四歩打から香車を取られつつ銀を働かされ、完封されてしまいます。

▲9五同角とした局面で、相手が△同香とすると、
形勢がひっくり返ります。
2021-08-27 (5)
こちらがその局面ですが、後手700点から一気に先手300~400点まで跳ね上がります。

しかし、裏を返せば▲9五角に△9四歩と収められるとどうしようもない、ということにもなりますね。
角香交換に釣られてくれることを願いつつ指す、相手が応じてくれた、という前提で進めていきます。

上の局面からの進行はそこそこシンプルです。
▲9五同香として△9四歩と受けます。
当然これには▲同香から銀香交換、ここでポイントなのが、相手が歩切れだということです。

▲9四同香 △同銀 ▲同飛車 の局面で相手が歩切れで歩での受けが利きません。

相手の受は△9三香打ですが、▲8四飛が王手です。
△8三金と受けて▲8六飛と引いた局面で、相手の囲いはボロボロですし、乱戦に持ちこめています。

ここで相手の最善手が△9七角打と飛車を取りに行く手です。
これで飛車が詰んでいますが、▲8四香打ちが相手にぶっ刺さります。
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これで形成判断が難しい乱戦になります。
相手は玉の周りの駒を殆ど剥されていますし、こちらは金銀四枚が残っていますが玉の周りがスカスカで鉄壁の防御力も発揮できる状態ではありません。

というのが、今回の局面の結論になると思います。

忘れてはいけないのは、
2021-08-27 (9)
この局面で歩を打たれるとなすすべないということです。

これをどうにかできないものかと、▲7五歩や▲4六銀などを絡めてもみましたが、端攻めそのものが通用していませんでした。


3回を通してカタツムリ地下鉄飛車を見てきましたが、
ハマれば強いの領域を出ていません。

一つの可能性としては悪くありませんでしたが、
例えば穴熊対面の時にのみ使う、などの使用方法に限られると思います。

高美濃囲い相手には有力でしたが、3手かけて銀冠にするだけで手も足もでなくなってしまうことを考えると、やや初見殺しの一発勝負すぎる気がしますね。

また考察については記事にして投稿していこうと思います。
今回は以上です。


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